Calender

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author♡fuuka
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fuuka
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MISTED SKY =wish & sympathy=

はじめに

この小説の著作権はrinahimeさま及び西崎凛那さまにあります。

管理人は転載許可を得て転載しておりますので

無断転載はご遠慮ください。

感想はこちらまで⇒ヾ(o゚ェ゚o)ノ<クリック!!

こちらにコメントされた方は著者さんに伝えてあります(。゚ー゚)σ

以下、各話リンクです('-')ノ

1st

2nd

3rd

4th

5th

6th

6.5th

7th

MISTED SKY2

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MISTED SKY =wish & sympathy= 7th action

ついにかすんだ空メンバーが揃った。
目の前にホーンテイル。
蒼はさんごを支え、洸はさんごをヒールで癒す。

そして三人の前に守るように立つりなとりゅう。
相変わらず微笑んでいるホーンテイルを指差した。

「人間みたいだけど…角生えてるからホーンテイルかな?」
「…みたいだね」
「何あれいけめん…いてっ」
「そんなこと言ってる場合か!」

ふざけたことを言ってるりなの頭をクナイで叩くりゅう。
頭をさすりながら「武器で叩くことないじゃんか」とこぼした。
りゅうは高いところに吊るされている鳥篭を見上げる。

「ホーンテイルよりも…羊!大丈夫か!?」
「りゅうさんっ!大丈夫ですけどこの鳥篭…ホーンテイルを倒さないとあかないみたいです…!」
「わかった!さんご、傷は?」

振り向いてヒールを受けているさんごに聞く。
さんごは洸にありがとうとお礼を言うとりゅうに向かって拳を突き出した。

「準備OK、始めようか」




その様子をにこにこと笑いながら見ていたホーンテイル。

「さーて…そっちもOKみたいだし。ホウリス、テイリス。いっておいで」

ホーンテイルの指示を受けたホウリスとテイリスがこちらに向かってくる。
さんごは咄嗟にみんなに叫んだ。

「気をつけろ!ホウリスは氷、テイリスは電撃を使ってくるぞ!」


―バチィッ!!

双方の攻撃が当たる大きな音がした。
蒼とりなはホウリスの攻撃を受け止める。
テイリスはさんごとりゅうが攻撃をふさいだ。

「蒼くん、遠距離の援護たのむ!」
「了解!」

蒼はくるりと舞いながらホウリスから離れる。
空中でクナイを打ち込もうとするとホウリスが蒼の後を追うようにブリザードを発動させた。

「…地獄の果てまで…追いかけて、ブリザード」
「ちょっ、ちょっと待った!空中じゃ避けきれ…!!」

風を切りながらツララが蒼のいる場所に向かってくる。

「させないよっ!」

そのツララをりながブランディッシュでなぎ払った。
たくさんのツララはあっけなく壊れ下に砕け散る。
続けてホウリスにラッシュを打ち込んで蒼がクナイを投げつける。
クナイはホウリスの槍に直撃し、カラン!と音を立てて地に落ちた。

「く…っ!」
「ホウリスちゃんだっけ?舐めてもらっちゃ困るっつーの」

にやりとりなが笑った。




一方、テイリスの電撃を塞いだりゅうとさんご。
たて続けにさんごがテイリスにブランディッシュを発動させる。
魔法を発動させる隙を与えないのが作戦だ。
さんごはアドバンスコンボを発動させ徐々に攻撃ダメージを増加させていく。
素早い攻防の最中、テイリスの無機質な瞳がさんごの瞳を捉えた。

「……無駄…」

テイリスは小さく呟くとさんごのブランディッシュを受けつつ釵に電気をこめた。
たちまち釵はバチバチと電気を帯びる。
キイン!と釵とファルシオンがぶつかるたび、武器を媒体としてさんごに電撃が少しずつ流れてくる。

「……はっ、そんなんで俺が倒れるとでも!」
「………」

体は多少しびれるが、かまわずテイリスにブランディッシュを打ち込んだ。
テイリスは先ほどの挑発に乗ったのだろうか、流れ込んでくる電気の量がふえた気がする。
サンダー程ではないがビリビリとさんごの体が電撃を纏う。
それでも大きな魔法を発動させまいと技を打ち込み続けた。
テイリスの瞳を見ると、あの無機質な瞳が少しイラついているようにみえた。
ホウリスとぶつかったときにはぴくりとも動かなかった瞳が、今は感情をチラつかせている。
もう少し電撃のレベルを上げようかとテイリスが力を込める―――


「背中ががら空きだよ…アヴェンジャー!」

ダークサイトで気配を消していたりゅうがテイリスの背後に回り
アヴェンジャーでその背中を切り裂いた。

「……っ!!」


テイリスはほんの少し顔をゆがめる。

「まだまだ…パニック!!」

アドバンスコンボがMAXになったさんごがパニックをお見舞いした。
テイリスは5m程吹っ飛んでいった。

「りゅう、ナイスアシスト」
「まあね」






「わあ…これは僕の出る出番かな?」

各々の戦闘を楽しそうに眺めたあと、ホーンテイルはコキコキと首を鳴らした。
視線の先には―――洸だ。
それに気付いた洸は杖を構える。

「バハムート…いくよ」

グルル…とバハムートがホーンテイルに向かって牙をむき出す。

「君が僕の相手してくれるの?ふふ…どんなふうに泣き叫ぶんだろうね?」
「うるさい!!」

テレポートでホーンテイルの背後にまわる。
勢いよく杖を突き出し呪文を唱えた。

「聖なる光…シャイニングレイ!!」

杖先から蒼く光る女神が出てくると、手にパワーをためてホーンテイルめがけて光をぶつけた。
その光はホーンテイルを直撃する。
バハムートも洸に続いて聖なる光を放つ。
2つの攻撃がぶつかった衝撃で地面にヒビが入り土煙が立ち上がる。

「手ごたえアリ!少しくらいは、効いたかな…」

もくもくと立ち上がる土煙がだんだんと薄れていく。
目を凝らしてみると…

「ホーンテイルがいない!避けられた!?」

「いや、避けてないよ。ただ効かなかっただけかな」

「――――!」


背後から声がしたと思ったときには既に片手で首をつかまれ上に持ち上げられていた。
足をバタつかせてもびくともしない。
ホーンテイルの深緋の瞳が目に映る。
随分と楽しそうに口端をあげていた。

「ギャオオッ!!」

自分の主人が首を絞められるのをみてバハムートは首を絞めている腕に噛み付いた。
牙が食い込んだところから血がポタポタ零れ落ちる。

「ば、ばはむーとっ…」
「赤い龍くん…それで自分のご主人様を助けたつもりかい?」

軽いため息をついたあと、もう片方の手をバハムートに差し出して、くいっと上へ動かす。
それと同時にバハムートも上へ放り投げられた。
そのままバハムートは地面へと急降下する。
いきなり放り投げられたためか、上手く羽を動かせていない。

「ああ、君は空だと自由に動けちゃうんだっけ…厄介だな、消えてもらおう」

ホーンテイルの手の中に紅い炎がチラリと見えた――と思えば、
それはゴオオオッという音をたてて燃え上がり、空中で羽をバタつかせているバハムートを包み込んだ。
炎はバハムートを焼きつくさんばかりに轟々と音をたてている。
上手く飛べていないバハムートがその炎を振り切れるはずもなく、急降下したまま地面へと叩きつけられた。
そのままメラメラと炎に苦しめられる。

「ギャオオッ……!」

痛そうにバハムートが一声鳴くと、シュン…と消えてしまった。
きっと洸の魔力がホーンテイルの炎によりかき消されたのだろう。

「ばはむー…とっ…!」

傷ついて消えた相棒を見てショックでいっぱいになった。
―――あんな消され方、悲しすぎる…っ
そう思ったのもつかの間、今度は自分の首も更に絞められた。

「…く、るしいっ…!!」
「苦しい?僕は楽しいけどな」

「洸!!」

首を絞められている洸をみた蒼が叫んだ。
持てるだけのクナイを手にホーンテイルに向かって投げつけようとする。

「…隙あり」
「ぐっ!!!」

しかし横からホウリスのツララをまともに受け横に吹っ飛ばされる。
さらにホウリスの槍突きを正面から受け床に倒れてしまった。
蹲ったまま、起き上がる気配がない。

「そ、そーくん!!!」
「あーあ…君のせいで彼やられちゃったね」
「そ…そう…く…ん…」

愉快そうにホーンテイルは笑う。
自分を助けるためにバハムートは消え、蒼にまで迷惑をかけてしまった。
そう思うと、悔しくて悲しくて…
涙が零れ落ちた。

「そうそう。そうやって泣いて…死ねばいいと思うよ?」
「っ…あ…ぁ…!」

洸の首にかける手の力を更に強めた。
苦しくて意識を失いそう…
洸の苦しそうな顔を見たホーンテイルが高らかに笑い声をあげた。

「あはは、人間ってどうしてこんなにも脆いんだろう………っ!?」


―――ザシュッ―――

何かを貫く嫌な音がした。
ホーンテイルがお腹に違和感を感じると、背中から腹にむけて剣が貫通していた。
その刀身は刃がギザギザしており、ホーンテイルの腹を抉ろうとしている。

「――――その子を放せ」

その刀の持ち主、りなは更に砕骨刀を食い込ませた。
食い込ませる度にボタボタと血が流れ抉られる。
後ろで恐いくらい黒いオーラをなびかせているりなをちらりと見ると、手に持っていた洸をドサリと落とした。
洸は気を失ってしまったらしい。

「君、面白いオーラの持ち主だね」
「黙れホーンテイル」

殺気を放つりな。
ホーンテイルは腹から出ている砕骨刀をぐっと持ち、それを腹から抜いた。
振り向きざまに片手でりなの首を掴む。
それでも殺気を向け続けた。
瞳孔が大きく開いている。

「まだ殺気を放つか…面白い。りなくんだっけ?君、僕の仲間になれば?」

ホーンテイルの思いがけない言葉に、少しりなの瞳が揺れた。

「は…?仲間?」
「そう。それだけ相手に向けられる殺気があれば弱い奴なんてすぐ殺せるでしょ。
りなくんは人間だから、僕の魔力をわけてあげる。
そしたら今よりもっともっと強くなれるよ、人間の誰よりも。
だから、僕の仲間にならないかい?」

首を絞めている相手にそんなことを言うのか…?
何の戯言だ、と思ったがホーンテイルはふざけているつもりはないらしい。
ニコニコとただ笑っていた。

仲間になればこの手を離してくれるだろうか。
そんな考えが少しだけ過ぎったが―――
突然の言葉に揺らいでた瞳は先ほどの殺気を放つ目に変わり、ニヤリと笑って言ってやった。

「お断り―――だってあたし、かすんだ空が大好きだもん」

そう、このギルドが好きだ。
何よりも好き。
このギルドを抜けてホーンテイルの仲間になるなんてもっての外だ。
今以上の強さなんていらない…
ギルドの皆が笑顔でいてくれるなら、それでいい。


「ふうん…人間は弱いだけなのに。残念」

りなの回答に面白くなさそうに答え、首をかけている手に力をこめた。
咄嗟に両手で首にあてがわれた手を掴み振り解こうとした。
男と女の差か、それとも人間と怪物の差か。
ぴくりとも動かない。
絞められる――と思ったが、そうではなかった。
確かに苦しいのだが、苦しいというより熱い。
こいつは確か炎属性だ。


「熱っ…」
「本当に残念。仲間にならないなら―――バイバイ」

ジュウウ…と首が焼ける音がする。
それと同時にホーンテイルの背後にキラリと光るものがみえた。

まさかアレは――――


「――――っあ!!!」


首の熱は囮…―――

気付いた時にはもう遅かった。
深緋の瞳が綺麗に笑ったかと思うと、砕骨刀がりなの腹を貫通した。

「くっ…あああっ…!!」

凄まじい激痛がりなを襲った。
屈むと砕骨刀のギザギザした刀身が体を抉ってくる。
そのためむやみに動けない。
ホーンテイルがりなの首から手をはなすとそのままくいっと手を動かす。
砕骨刀がりなを貫通したまま高くあがり壁にむかって突き刺さる――


ダンッと大きな音を立てて、りなは壁に串刺しとなった。
傷口からおびただしいほどの血が流れ出す。
血は壁を伝い、剣を伝い、あたりを紅く侵食していった。
りなはそのまま動かない。


「りなさん!!…ホーンテイルの野郎!」


ホウリスと戦っていたりゅうが叫んだ。
ホウリスは変わらずブリザードを発動させる。

「ちっ…お前邪魔だ!シャドーパートナー!!」

りゅうの影がゆらりと浮き出る。
影はりゅうとともにホウリスのツララを砕き、
2人で壁際に追い詰めホウリスの手首にクナイを討ちつけ動きを封じさせた。
ホウリスはなんとか外そうとするが、外れずジタバタと体を動かす。

動きを封じたことを確認すると影とホーンテイルに向かう。
壁伝えに走りフラッシュジャンプで空中へ飛び出すと手裏剣を三枚持ちスキルを発動した。

「トリプルスロー!!」

三枚の手裏剣がホーンテイルを突き刺す。
影もりゅうの動きと同じように手裏剣を投げた。
ひとつは腕に、もうひとつは足に、そして最後は頬を掠めた。

「君もちょこまかと…うるさいなあ」

ホーンテイルは面倒くさそうにそういうと、指を静かに動かした。
空中にあるりゅうの体は身動きとれずに壁に叩きつけられる。

「ぐっ…!」

そのままずるずると地面に引き摺られた。
そこへ自分に刺さったクナイを抜いてりゅうに投げつけた。
トトトッ!と音を立てて全てがりゅうの体に刺さる。



「りゅう!…くそっ!!シャウト!!」

電撃を放ってくるテイリスをシャウトで気絶させる。
くたりとテイリスは地面に倒れた。
動けないテイリスを見てホーンテイルに向かった。

「ブランディッシュ!ラッシュ!」

力の限りホーンテイルにむかって技を繰り出す。
ホーンテイルは余裕そうにくるくると攻撃をかわした。

「仲間、みんな倒れちゃったね…あはは、君一人だよ、どうする?」
「…絶対倒す!!!」
「へえ…その前に僕が君を殺すよ」

さんごの攻撃をひらりと避けたホーンテイルはさんごの腹に蹴りを入れる。

「―――ぐっ!」

「ブースト」

ホーンテイルの角が紅く光り、手から渦巻いた炎が飛び出した。
その大きな炎は波のようにさんごを包み込む。

「うああっ!!」

灼熱の炎が体力を奪い、焼き尽くす。
なんとかして炎を払うと目の前にはホーンテイルが立っていた。
剣を支えにして立とうとしたが、ホーンテイルがそれを蹴った。
ファルシオンはカシャンと音をたてて転がる。
さんごもファルシオンのように地面に倒れてしまった。

「あーあ…これじゃあホウリスとテイリスの時と同じだね」

ホーンテイルはゆっくりしゃがむとさんごの顔の前に手を向けた。
キィィンとホーンテイルの角が真っ赤に染まった。
それと同時に顔に向けられた手が紅い炎を帯びる―――

「これで最後。まあまあ楽しかったよ…さよなら」






「―――――やめてえええっ!!!」


「―――――っ!?」


突然の声にホーンテイルの炎が消える。
さんごはうっすらと目を開けた。


誰かの声。これは―――



「もうやだ…もうやだよ!!私だけ何も出来ないのは…見てるだけなのは!!

さっちゃん、そーくん、りなさん、りゅうさん、さんごさん…!
そんなに傷だらけになって…ごめんなさい…!!」


――――ふうかちゃん、だ



鉄格子を強く掴みながらぽろぽろと涙を流していた。
これ以上、皆のやられる姿を見たくない。
けれど状況は絶望的。
さんごはやられる寸前、鳥篭はホーンテイルの魔法つき。

この絶望的な状況をどう突破すればいい?
どうすればいいのか――考えは一つだけだった。
それも、イチかバチかの賭けに近い。


「お願い、メイプルストーン…かすんだ空を助けて!!」


力の限り叫んだ。
声が空間をエコーする。
それを聞いたホーンテイルは鼻で笑った。

「無駄だよ、メイプルストーンは所有者の意思なんて聞かない」

再びさんごに向かって炎を放とうとする。


メイプルストーンは所有者の意思は聞かない――


それでも祈り続けた。

それが唯一私に出来ることだったから。

皆を救う小さな『光』だから―――



「―――お願い、仲間が危ないの…!
私は仲間を助けたい…!

メイプルストーン…力を貸してっ!!」





だから届いて、私の声。




―――――ドクン――――




「―――えっ?」


一度体が脈を大きく打ったかと思うと、ふうかの周りにオレンジ色の光がくるくると回り始めた。
それはホーンテイルの鳥篭を突き抜け空にふわりと浮くと5つに分裂する。
分裂した光はふわふわと倒れた者たちの方へと向かっていく。

ひとつは洸のもとへ、
ひとつは蒼のもとへ、
ひとつはりなのもとへ、
ひとつはりゅうのもとへ、
そして最後は…さんごのもとへ。

分裂したオレンジの光がゆっくりと各々の左胸に入っていく。

「ば、馬鹿な…!メイプルストーンが所有者の願いを聞き入れただと…!!」

焦るホーンテイルの声。
だんだんと生気を取り戻すさんごからじりじりと後退る。
体力が回復していく―――いや、体力だけではない。
力も前より強くなっている―――?


「そういえば、グリトさん言ってたな。
『強く仲間を思えばきっとメイプルストーンも反応してくれる』って」


完全に回復、いやそれ以上にパワーアップしたさんごがファルシオンを手に立ち上がった。


「メイプルストーン、答えてくれたんですね」

倒れていた蒼、洸やりゅうも目を覚ます。

「ふうちゃん、ありがとう!ふうちゃんの願いがなかったら――」
「皆倒れたままだったな。さんきゅ」

洸とりゅうの言葉に涙目でうん、と頷くふうか。
自分のしたことは無駄ではなかった――!
皆が立ち上がってくれたことが嬉しくて、再び涙がふうかの顔を伝った。
今度は悔し涙なんかじゃない。


「あたし達の力、ふうかの願い。――かすんだ空全員でホーンテイル、倒しにいこうか」

高いところで串刺しになっていた粉骨刀を思い切り抜くと、りなはタンっと軽く音を立てて地に降り立った。

「りな、傷大丈夫なの?」
「メイプルストーンの力は凄いみたい」

さんごの問に微笑した。
たしかに大きな傷はあるけれど痛くはない。
それになんだか内側からだんだんと傷がふさがれていっている気がする。


「くっ…こんなことが起きるなんて…!!ホウリス、テイリス!!」

漲る力を見せ付けられてホーンテイルもさすがに焦ったのか、ホウリスとテイリスを呼ぶ。
ホウリスとテイリスは青い光の玉となってホーンテイルの体に吸い込まれていった。
青い玉を体に取り込んだかと思えば、大きな地鳴りがする。

「何だ!?」
「本当の姿のお出まし、ってか!」


―――ギャオオオウ…ッ

ホーンテイルの体は人間の姿から三頭の頭を持つ巨大な龍の姿に変えた。
大きな鳴声が空間の空気を揺らす。
ホーンテイルが歩くたびに地面が割れた。
自我を持つ三頭の頭は、氷の塊をぶつけ、雷撃をおとし、炎をふりまいた。


「よし、ケリをつけるぞ!」

かすんだ空のメンバーはホーンテイルを囲むように立った。
それぞれ目を瞑り、ありったけの力を武器に込める。

初めは小さかった気力が次第に大きくなった。
その気力を更に大きくさせるようにオレンジの光が己の体を包む。


「これで―――最後だ!」

さんごが叫んだと同時に一斉に攻撃を仕向けた。



聖なる光がホーンテイルを押しつぶし、

手裏剣がホーンテイルの体の動きを封じ、

剣がホーンテイルの体を引き裂いた。


そして『願い』がその力を増幅させる。



―――ギャアアアアア!!!




すべての強力な攻撃を受けたホーンテイルは叫び声を上げ――

何かを焼き尽くすような音と悲鳴とともに、消えた。





「た、倒したの…?」

静かな空間の中、洸の呟きが響く。


「―――きゃあっ!」


小さな悲鳴が上から聞こえた。
ふうかの入った鳥篭が急速に落下している。
今までホーンテイルの力により支えられていたがホーンテイルが消えたため、力がなくなったのだろう。

「あああ、危ないっ!」

蒼の叫ぶ声が聞こえる。
ホーンテイルの力がなくなったということは……

「テレポート!」

ふうかがそう叫ぶと、ふわっと鉄格子をすり抜けることができた。
……が、ここは空中。
落下中なのは変わりない。
生憎テレポートは空中では使えなかった。


「きゃああっ!!!」


鳥篭はガシャアアン!と大きな音を立てて壊れた。
一方、ふうかは――

「…よしっ。怪我はない?」
「あ…ありがとうございます、さんごさん」

危機一髪、というところでさんごに受け止めてもらうことができた。
降ろしてもらうと、ガバっと洸が抱きついてきた。

「良かったああもうふうちゃああん!!!」
「さ、さっちゃん…」

嬉し涙を流す洸をよしよしと撫でる。
6人の間にほんのりとした空気が流れ込んだ。

「無事でよかった…。これでまた再出発、できるね」
「はい!今度はちゃんと前に進みます。空中じゃなくて、ね」

ふうかの冗談にみんなが笑う。


状況は絶望的、戦いは過酷だった。
メイプルストーンや私なんて見捨てることも出来たはず。
だけどそれを皆で乗り越えて今、こうして笑いあえることができる。


暖かい仲間がいて本当に良かった―――


本当に心から思った。

このギルドを抜けたら、これからいろんな世界に飛び込むのだろう。
危険な地域もあるかもしれない。
だけど、どんな状況も頑張れる気がする。

仲間の大切さ、みんなの思い――

大事なことを教えてもらったから。
だから私は頑張れる。


洞窟内の青いクリスタルがキラキラと優しく光っていた。
まるでこの先の未来をあらわしているみたいに…。

一度洸を話すと、洸、蒼、りな、りゅう、さんごに向かってお辞儀をした。
深く、深く。
顔をあげると、皆突然の行動に驚いたようだが、すぐに笑顔になった。
それにこたえるようにふうかも笑顔を浮かべた。


「みんな、ありがとう…!」


これから辿る、新しい道を想い描きながら。

MISTED SKY =wish & sympathy= 6.5th action

目を覚ますと、狭い鳥籠の中にいた。

冷たい床から頬を離す。
どうやら…ワイバーンに連れ去られてそのまま気を失ったらしい。
相当広い場所にいるようだけれど、私は鳥篭に閉じ込められていた。
外に見える青いクリスタルの光がキレイ。

――――ここは、どこ?


「起きたみたいだね」

「……っ誰!」

いきなり男の人の声がした。
急いで声がした反対方向に身を寄せる。
といっても、そんなに身を寄せられるほどこの中は広くない。

目の前には深緋色の瞳の青年。

「僕はホーンテイル。君を攫った犯人だよ」
「ほ、ほんてっ…!?」

この青年がホーンテイル、らしい。
だけど、ホーンテイルは龍ではなかったか…?
よく見ると頭に角が生えている。

――って、それどころじゃない!

一刻も早くここから出なければ…。
自分を落ち着かせて、よく使う移動魔法の呪文を唱えた。

「我を導け…テレポート!」


これで私は鳥篭の外に………


「で、でれない…!?」

おかしい、少しの段差ならテレポートで移動できるはずなのに。
こんなちょっとの鉄格子…飛び越えられるはずなのに。


「……アイスストライク!サンダーボルト!」

ありったけの魔法を使った。
でも鳥篭に弾かれてしまう。

「ど、どうしてっ…」

「無駄だよ、その鳥籠には僕が魔法をかけておいたから。
どんなに君の魔法をぶつけても解けないよ」

憎たらしいくらいキレイに笑う青年…ホーンテイル。
どの魔法も試したけれどホーンテイルが言ったとおり何も効かない。
ホーンテイルはその様を楽しそうに眺めていた。

なんだかそれがムカついて、魔法を使うのを諦めてホーンテイルを睨みつけた。

「……私を攫って、どうする気」

「君、メイプルストーンって知ってるかい?」

『メイプルストーン』…?

自分が攫われた理由を聞いてみたら思わぬ答えが返ってきた。
そんなの聞いたことがない。
それが顔に出ていたのか、ホーンテイルは「そりゃ聞いたことがないよね、極秘だし」と笑っていた。

「メイプルストーンはね、とても珍しい強力な石なんだ。
それこそ世界を征服できるくらいにね」

世界を征服できる石…知らない、そんな石。
どうしてホーンテイルは知るはずもない極秘事項を私に話したのか。
私に何の関係があるというのだ。

「君の心臓にあるんだ」
「…えっ?」


「だから、メイプルストーン。君の心臓に埋まってるんだよ」


――――――こいつは今、なんと言ったのだろう。


メイプルストーンが…私の心臓に…埋まっている?


「メイプルストーンは普段気配を消してるからね。
気付かれないケースが多いけど…僕は気付いた。
メプルストーンの気配に。
皮肉にもナインスピリットととの戦いのおかげで気付かされたなんてね」


私はその石を持っていたから攫われたの?
でも自分自身そんな石、知りもしなかった…。
どうしてメイプルストーンが私の中に…?
なんのために私の中にあるの…?
どうしてどうしてどうして…!


「わ、私は…そんな石…」

「持ってるよ、君は。
だからこうして攫ったんだ…大丈夫、すぐ終わるよ。」



私、殺される…?


そう思ったら身の毛もよだつような不安と恐怖に体が震えた。
メイプルストーンという石は私の体にあるという。
なぜそんな石を持って生まれてきたのか―――

「そんなに震えなくても大丈夫だよ。
―――もしかしたら君の仲間が助けにきてるかもしれないよ?」

「仲間…かすんだ空のみんな!?」


「……ふうかああ!!絶対助けに行くから…!!!」


意識を失う寸前にきいた、りなさんの声。
もしかして、皆ここに…。
私を助け出すために―――

「まあ、邪魔しに来るのは想像できてたけどね」

ホーンテイルはクスリと笑って指を空間に四角い形になぞった。
なぞられた部分はモニターのように浮び上がる。
それを4つ作り上げた。
そのモニターにはテレビの砂嵐がザザーっとながれていた。
まるで監視カメラのよう。
しばらくすると、鮮明な映像がそれぞれに映し出された。


一つは蒼くんがゾンビと戦っている画面。
一つはさっちゃんがワイバーンと戦っている画面。
一つはりなさんとりゅうさんがビシャスと戦っている画面。
一つはさんごさんが走っている画面。

さんごさん以外…傷だらけだ。

「どうしてこんなところにゾンビが…それにビシャスが…!」
「僕がいろいろ手を加えたんだ。すぐに来られちゃつまんないでしょ?
まあ、一人こっちに来ちゃってるけどさ」

相変わらずクスクスと笑っているホーンテイル。
皆が傷つくのを見て何が楽しいの?
だけど…それ以前に、何も出来ない自分が悔しい。

「君を殺してメイプルストーンを手に入れるのは少し先。
お楽しみは最後のほうがいいでしょ?
まずはここで戦ってる奴を排除しなきゃね。
あ、この中から僕の仲間にスカウトするのも手だなあ」

そう言ってモニターを手でぐしゃりと潰した。
愉快そうに笑って。


「そろそろさんごくんが来る頃だね――お出迎えの準備、しようか」

「きゃっ!」

ホーンテイルが指をくいっと上へ動かすと、鳥篭がぐんっと上にあがった。
その反動で体が鳥篭の底に叩きつけられる。
広いこの場所を見渡せるほど高く浮き上がると、大きな扉が目に入った。
それと一人分の足音。



「さあ――宴の始まりだね」



扉が少し、開いた。




To Be Continued…

MISTED SKY =wish & sympathy= 6ch action

ただ一人、さんごは洞窟の中を走っていた。
この洞窟に入る前までは自分のほかにあと4人、仲間がいた。
だけど皆は自分に早く行けと促すように適の足止め役となった。
自らが命の危険を晒すかもしれないのに。

「…どいつもこいつもカッコつけやがって」

独り言は洞窟内に響く自分の足音でかき消される。
この独り言が今戦っているメンバーに届いたらいいのに…
そんな思いも目の前の大きな扉によってかき消された。

洞窟内に似つかわしくない大きな扉。
重厚そうな作りだった。
そうにも関わらず中から嫌な気配がむんむんと伝わってくる。

確実にわかった。
―――この先にホーンテイルがいると。


さんごは一度深呼吸をすると、扉に両手をおいた。
絶対にふうかを助け出してやる。
その想いを頭に響かせ手に力を入れた。
重厚な扉はギギギギ…と嫌な音を立ててゆっくりと先へと導いた。


――――ついにホーンテイルとの戦い。


扉から青い光がさんさんと降り注ぐ。
洞窟内だとは思えないほど明るく光りが降り注いでいた。
ただ陽の光ではなく、青いクリスタルから発生される光だった。
目を凝らすと、その先に嫌な気配の持ち主…ホーンテイルがいる。

「よく来たねぇ、かすんだ空のギルド長さん」

そには大きな三頭の頭を持ったデカイ龍の怪物――ではなく、青年が一人立っていた。

「お前は…誰だ?」
「やだなあ、さんごくん。僕がホーンテイルだよ」

自分をホーンテイルと名乗る青年はにこりと笑った。
深緋(こきひ)色を持った目の微笑に少しばかり感じる違和感。
胸元が開けたTシャツと所々切れ目の入った黒のズボンを身に纏い、
少し長めの銀色の髪に銀朱の角を生やしている。
その角は明らかにホーンテイルのソレだった。

「お前が…ホーンテイル?ホーンテイルは龍のはずじゃあ…」
「ああ、本当の姿は人間が噂してる龍だ。でも生憎僕はこっちのほうが戦いやすいんだ。
人間と同じ姿っていうのは気に食わないけど、図体がでかいのは僕自身気に入らないし」
「……あと二つの頭の部分は?自我がそれぞれあるんだろ」
「ふう、しつこいな君は…。しつこいと嫌われるよ?確かに自我はあるけど僕が司令塔だ」

こいつの正体は龍の姿らしい。
つまりホーンテイルは人間に化けているということか。
三つの自我に対して「自分が司令塔」とはよく意味がわからない。
三つの自我はすべてこのホーンテイル一人の自我だということだろうか?
辺りを見回してみると青年姿のホーンテイルと…鳥籠のようなものに閉じ込められているふうかが目に入った。

「っふうかちゃん!!」
「さんごさん…っ!」

「(良かった、まだ無事だ――!)」

ふうかが生きていたことに少し安堵する。
ただ、いかなるときも油断はできない。
その鳥籠は高いところに浮いていた。
もしかしたら壊せるかもしれない。
ブランディッシュは届くだろうか、それともラッシュなら勢いで壊せるだろうか…
そう思って刀を構え鳥籠を狙おうとするとホーンテイルが笑った。

「無駄だよ、アレには僕の魔力を込めたから僕が倒れない限り壊れない。
彼女、テレポートが使えるだろう?逃げられたら厄介だからね」

「…彼女を放せ!」

「それはお断り。だってあの子『メイプルストーン』持ってるし」

「!」

やはりホーンテイルはメイプルストーンの存在を知っていた。
ふうかの中に埋まっていることも。


「メイプルストーンで…何をする気だ?」
「あはは、大きく言うとこの世界の完全支配かな?
メイプルストーンの力は驚異的って聞くから楽しみだなあ。
本当は今すぐにでも取り出したいんだけど…君たちが邪魔しにくるからね」

相変わらずホーンテイルは笑う。
けれど深緋の瞳は笑っていない。

「いくつもトラップ仕掛けたんだけどなあ…わざわざ僕が魔力まで与えてさ。
それなのにさんごくんが来ちゃった。お仲間、無事だといいねえ」

『お仲間』という発言にぴくりと反応を示したさんごを、今度は深緋の瞳が笑った。
深緋の瞳が揺れる。
まるで悪戯をした子どものように――楽しそうに、残酷に。

「…皆は絶対来る!お前を倒しに…!」
「ふふふ、そうだといいね…でもその前に君が死んじゃうかもね?」
「…っ!」
「そうだ、さっき三つの自我がどうのこうの言ってたよね。今理解させてあげるよ」

笑っていた目を鋭く光らせ、両手を差し出した。
バチバチと両手が青く光る。
その光は壁中に広がる青いクリスタルに似ていた。


「おいで…僕の僕(しもべ)たち」


ホーンテイルが静かに呟くと新たに二つの影が現れる。
どちらも人間のようで…けれどもホーンテイルと同じように頭に角を生やしていた。
ホーンテイルと違うのは女であることと、角が紺青色で下のほうへ向いていることだ。

「我が名はホウリス」
「我が名はテイリス」

無機質な瞳でこちらを見る二人はどこか空虚を見ているようだった。
ホウリスと名乗った女は紺色の長い髪を左肩に束ね、
黒の袖がない軍服のような上着に短いスカートを履いており
手には氷で出来たような鋭い剣を持っている。
テイリスと名乗った女は紺色の長髪をなびかせている。
胸元が大きく開いた肩、ヘソ出しのタンクトップに黒のズボン。
大きな釵(さい)を構えていた。

どちらも顔は瓜二つ、服装や武器までもが同じだったら見分けられなさそうだ。

「驚いたかい?これが三つの自我といわれる正体だよ。
僕が龍の姿になったらこの子たちは頭の部分になるんだけどね。
だけどあくまでもホーンテイルは僕自身。
僕が命令を下さないと彼女たちは動かない。」

たとえ自我を持っているとしても彼女たちはホーンテイルの命令なしに動かない。
だからホーンテイルは自分が司令塔と言ったのか。


「納得してくれたかな?ああ、納得してもここで死んじゃうから意味ないね。
ホウリス、テイリス。さんごくんを葬ってくれるかな?」

「了解」
「しました」


ホーンテイルの言葉に了解したホウリスとテイリスは一気にさんごの元へ詰め寄った。
スピードはきっとどの敵よりも速い。
手始めにホウリスが槍を力強く切り込んできた。

「…っく、やっぱり氷属性か…!」

キィィンという音が響き渡った。
ファルシオンで受け止めた部分が氷着けになっている。
ホウリスの槍を片手剣で押さえつつ、振り向き様に盾で後ろをガードする。
バチバチ!という音を立てて盾と釵がぶつかった。
盾の向こう側から電撃が呻いている。

「こっちは雷…厄介な奴らだな!」

一端上へ回転して体勢を立て直した。
その際に強い力で押し合っていたホウリスとテイリスが痛そうな音をたててぶつかった。
お互いの攻撃も当たったはずなのだが、痛くも痒くもないような顔して再びこちらに向かってくる。
あの無機質な瞳のままだ。


右から向かってくるホウリスの槍を剣で受け止め、左から向かってくるテイリスの釵をガードする。
そのスピードのせいかなかなか攻撃が出来ない。

「(このままじゃ受け止めるだけで精一杯か…!?)」

再びガツン!とホウリスが槍を振り落としてくる。
そのとき、小さくホウリスの口元が動いた。

「ブリザード」

ホウリスの槍から鋭いツララのような氷がさんごに襲い掛かる。
いくつかはさんごの頬や服を掠めたが咄嗟に盾を構えたおかげでほぼ塞げることができた。
魔法を使ったことでホウリスに小さな隙が出来る―――
そこをついてブランディッシュを斬り込もうとした。
が、自分の背後からホウリスと同じような声が聞こえた。

「サンダー」

「くっ!!」

振り向いたときにはもう守備は間に合わず、バチバチバチ!とテイリスの電撃がさんごを直撃した。
想像以上に魔力が高く、電撃が全身を蝕む。
情けないことに立つのが精一杯だった。


「あれ、テイリスの電撃まともに喰らって立てるんだ…ふーん、すごいね。
だけどそれもここで終わりだよ、長い攻防のわりにあっけなかったね」

「ホーンテイル!!お願い、もうやめてよっ…!」

「ふうかくん、君のギルド長がやられる様をじっくり見ておくといいよ」


ホーンテイルの戯言とふうかの悲痛な叫び声が聞こえる。
負けてたまるか、とテイリスに向かいラッシュを放つがひらりと避けられてしまう。
その隙を今度は横からホウリスの槍を喰らい壁に叩きつけられた。

斬られたところから血があふれ出す。


やはり自分ではホーンテイルは倒せないのか――


霞みだした視界で彼女達を見てみると、まさに今ホウリスとテイリスが魔力を掌一点に集めているところだった。
多分ブリザードとサンダーが同時にくるのだろう…
それを喰らったらもうまとも戦えない。
避ける体力はほぼ残っていない…せめて、防御する体制をとった。


「サンダーブリザード!」


電撃を纏った無数のツララがこちらに向かう。
二つの魔力が合わさった分、大きな魔力となっていた。

壁を背に目を瞑り防御に集中する。
傷に染み渡るくらいの力を感じる。
魔力がでかい…この盾で塞ぎきれるか?
しかし頭で考えていても仕方がない、電撃ツララはもう目の前。
精一杯の力を盾を握る手にこめた。


「くるならこいよ…!」



さんごの盾にぶつかろうとした瞬間、ふっとその魔力が消えた。

消えたというより…弾き飛ばされた、という表現のほうが正しいかもしれない。


不思議に思って目を開けると、見覚えのある人影が目の前に立ちふさがっていた。


「さんごさん大丈夫!?」

元気印の洸。


「間に合ってよかった…」

お茶目な蒼。


「さんごさんにも超えられない壁があるのね…」

腹黒のりな。


「まあホンテがそれほど強いってことじゃないの」

ドSのりゅう。


ホーンテイルのトラップを引き受けた仲間達が目の前にいる。
それぞれ大変な戦いだったろうに、急いで駆けつけてくれた。
そして自分のピンチを救ってくれた――


「みんな…きてくれたんだね」

「当たり前じゃないですかあ~!追いつくって言ったモン!」
「そうそう、洸のいうとおりですよ!」

皆ところどころ傷を負ってはいるが元気そうだ。
その姿に少し安心する。


――これで全員揃った。


さんごは改めてホーンテイルを見据える。

今こそホーンテイルを倒してやる。

かすんだ空のメンバーの力で、必ず…!




To Be Continued…

MISTED SKY =wish & sympathy= 5th action

4人は静かな一本道を黙々と進んでいく。
入り口と比べて蝋燭も増え、青い氷のような壁を照らしている。
それが幻想的なものにも見えた。

「どうして、ヒールが効かなかったのかな」

洸がぽつりとつぶやいた。
もうりなの手は取っていない。
その疑問にりながううんと一声唸ると
「もともとこの地にゾンビがいること自体がおかしい。
だからホーンテイルがゾンビ達に何かしたんじゃないかな…」
そう答えを出した。
りゅうが頷いて同意すると、「これから先出てくる敵も普通じゃない可能性があるな」と警戒を深める。



一本道をしばらく進み続けた後、上へと続く梯子がある場所へついた。
この場所の幅自体は広くはない。
梯子をひとつのぼると、右手に約30歩先にまた上に続く梯子がある。
その梯子をのぼると、今度は左手に約30歩先に梯子がある。
一つの梯子自体はそれほど長くはないのだが、上にのぼるたびに
右手、左手と方向転換をしなければならなかった。
足場は1mもない。
移動、登りの繰り返しと落ちるかもしれないという緊張感が体力を削らされていた。


「どのくらいのぼったんだろ…もう下が暗くて見えない…」
「下は見ないほうがいいよ、余計に体力消費するから」

もう半分バテかけている洸にりゅうが手を差し出した。
その手を頼りに梯子をのぼる。
のぼり終えて、ふう、と洸が一息ついた。
梯子をのぼり始めてからだいぶ経つ。
そろそろゴールがきても良いんじゃないか、とさんごが上を見上げた。

「…あれ、光じゃないか?微かにだけど…」
「ほんとだ!あと一息だね」

上の足場が頭上をふさいでよく見えないが、微量の光が差し込んでくる。
光を頼りに梯子をのぼっていく。
のぼるたびに光の量が増えていった。

ゴールが近い、そう思って梯子を上りかけたとき、頭上からバサバサという耳障りな音がした。

「…この音はっ!」

りゅうが叫んだ。
この音には聞き覚えがある。
そう、あれは確か…




「――――っ助けて!!!」



「ワイバーンの羽音…っ」



その瞬間、上から大量のワイバーンたちが一斉に降りてきた。
レッドワイバーン、ブルーワイバーン、ダークワイバーンが周りを囲むように飛んでいる。
普段は白い目なのにどのワイバーンも目を赤くさせていた。
けたたましい鳴声をあげてゾンビ達のように襲ってくる。

「さっきのゾンビと比べ物にならないくらい多い…!」
「まだ梯子はあるっていうのに!」

確かに光の量は増している、あと一歩のところでワイバーンの襲撃。
足場は不安定、戦う場所も狭い。
これじゃあいつか落ちて全滅…その考えがさんごの頭を過ぎった。



「ジェネシス!!」



洸の声がしたと思えば、辺りは刺すような聖なる光が降り注いだ。
光に押しつぶされたワイバーンたちが一気に下へ急降下する。

「ここはウチに任せて、あいつらが戻ってくる前にさんごさんたちは早く上に!」
「洸!?」

そんなことできない、という目で見るりなに洸はゆっくり目を閉じた。
「ウチだって…こいつらを倒せる力がある。それに一人じゃない、ねっバハムート」
いつの間にか召還したバハムートを撫でるとバハムートはグルルと鳴いた。

3人が洸に躊躇しているうちに、下からたくさんの羽音と呻き声がこちらに向かってきた。
早く!と洸が叫んぶ。

「早くふーちゃんの元に行ってあげて。…必ず追いつく、蒼くんと」

もう一度ジェネシスを発動させ、ワイバーンたちの動きを遅くさせた。
その隙に3人は梯子を上りきる。
本当にあと少しでゴール、だった。



さんごたちが上へ行ったのを確認すると、杖を敵に向けて振りかざす。
バハムートも鋭く敵を睨みつけた。


「大丈夫、できる。ウチだってみんなの力になりたい!」


杖を握る手が、熱かった。










メンバーが一人減って、さんご・りな・りゅうがホーンテイルの元へと急ぐ。
再び一本道を進むと大きな空間に出た。
空間中に青い結晶が光に反射してキラキラと光る。
洞窟だというのに、この光はどこから差し込んでくるのだろうか。

「綺麗…」
「だけど油断するな、お約束のニオイがプンプンする」

さんごが辺りをひと睨みすると、そのオヤクソク通りに高らかな笑い声が聞こえてきた。
苛立つような声が空間をこだまする。


「お約束か…」
「今度はどいつ?スケルゴサウルス?それともノーブルドランゴーレム?」


上から猛スピードで降りてくる。
丸くて大きく上と左右に突起がある。
左右の突起は三本ずつ鉤爪のようなものがついていた。
暗くて正体まではわからないが、なんとなく見覚えがある。
武器を構えた三人の前に現れたのは―――


「馬鹿め!お前らここでオシマイだああ!」



時計の乗り物に乗った青い敵。


「ビ、ビシャスプラント!?」
「なんでここに!」


驚いている三人を馬鹿にするようにビシャスは笑った。

「ケケケ!ホーンテイル様が俺様をここに連れてきてくれたのさ!」
「やっぱりホーンテイルが原因か…」

ガシャン!と両手をわきわきと動かすと、かかってこいとばかりににやりと笑う。
そんなビシャスにいささか違和感を感じる。
ビシャスはこんなにも挑発的な態度だったか。

「仕方ないなぁ。ここはあたしが相手するから二人は先行って」

面倒くさそうにりなは砕骨刀をビシャスに向けた。
こいつ一匹ならいつものノリで倒せる。
蒼や洸のおかげで体力も十分だ。
それを見たビシャスが意地悪く笑う。

「ケケケケ!オマエ、俺様がいつもの俺様だと思ってないか?」
「何…?」

笑ったかと思うと、今度は急に力をため始めた。
いつにない気力がビシャスの体を覆う。
巨大な力がビシャスに集まり始め……5体に分裂した。

「ぶ、分裂?!なんで!」
「ハーッハッハッハ!これがホーンテイル様が与えてくださった力だ!」
「ホンテめ…なんて面倒な力を…」

ビシャスが笑っていた原因はこれだったのか。
これは少し…倒すのは難しいかもしれない。
体力が5体分持つかどうか。
それにこの意地悪く笑っているビシャスが1体1体戦ってくるわけじゃない。
5体一気に仕掛けてくるだろう。
ただでさえ1体でも厄介な敵だというのに。

「ケケケッ怖気づいたか?」
「5体いればお前なんか怖く……イタタタタ!」

急に1体のビシャスが痛がりだした。
よく見るとビシャスプラントの本体の指部分に手裏剣が刺さっている。
手裏剣の形は…日の手裏剣。

「…たっちゃん?」
「手伝うよ」

りなの隣に並んだりゅう。
手には先程ビシャスに刺さった日の手裏剣が数枚握られていた。
それを見て一度瞬きをした後「じゃあ手伝ってもらおうかな、」と笑った。

「さんご、早く羊のところへ」
「だけどっ…2人で5体相手じゃあまりにも…!」
「いいの、こっちは洸や蒼君と違って2人なんだから。それに…
お姫様を助けるのは"ヒーロー"の役目でしょ!」

その言葉を聞いたさんごは名残惜しそうに「追いつくの待ってるから」と言い残した後、
足早に先を急いだ。

広場に武器を構え互いに背中を合わせたりなとりゅう、そして5体のビシャスが残る。


りなは背中越しに話しかけた。

「いいの?手伝ってもらっちゃって」
「それ今更…。別に、りなさんのパシリなんて慣れてるし」

そう答えたりゅうに少し笑う。

「それはありがたいわ。でも、そのパシリも最後かもねえ…」

5体のビシャスを眺めながら言った。
相変わらずあの変な笑い声をあげている。
笑い声をBGMに、ただ眺めていた。

2人の間に短い沈黙が流れる。
りなの言葉の意味を理解してかける言葉がないのか…
背中越しだからりゅうの表情はわからない。

ふっと目を閉じて改めてビシャスに向かおうとすると、突然、りゅうの背中が笑った。


「ハハッ…パシリが最後?じゃあ羊を救った後おれがりなさんをパシらせてもらうよ」


――――ああ、この人は。


なんだかしんみりしていた自分も馬鹿らしくなって、笑った。


「ごめん訂正する、この戦いの後も時々パシるかも!」


この言葉を合図に2人同時に地面を蹴った。
それぞれ正面のビシャスに向かっていく。
目の前のビシャスは時計の手でバチバチと光る光の玉を込めていた。
それでもかまわず目の前から突っ切っていく。

「ねえたっちゃん、知ってる!?」
「何を!?」

目の前のビシャスだけじゃない、もう一体のビシャスも光の玉を込めている。


「蝋燭って消える瞬間、一際大きく燃えるらしいよ!」

そう叫んだりなの声はりゅうにとってどう聞こえたのだろう。
りなの声に比例するようにりゅうも大きく叫んだ。

「上等!」


ビシャスが「くらえ!」と2体同時に光の玉を弾いた。
大きな光の玉が襲ってくる。
ぶつかりあう瞬間、砕骨刀を勢い良く振り下ろした。



To Be Continued…

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